今回はデザインの一要素に焦点をあてて考えてみたいと思います。
「書体」です。
書体とは一貫した特徴のある文字の形、字形として表されているものを意味しています。
デザインの世界で「文字」はいくつか役割があります。
情報としての役割とデザインの1パーツとしての役割。
字形という意味の通り「形」があるからには、もうすでにそれだけでデザイン要素といえるのです。
書体と文字関連のデザインのコツをまとめてみたいと思います。
コンテンツ目次
1.書体の種類
普段私達が使う文字は漢字・ひらがな・カタカナ等の日本語を表す「和文」、またはアルファベットの「欧文」と呼ばれるものがほとんどでしょう。
ここではまず主に和文について書きます。
細かく分けると書体は様々ありますが、大きく2つに分けると「明朝体(みんちょうたい)」と「ゴシック体」です。
縦線が太く横線が細く、ウロコやはね、払いなどの形がはっきりしているものが明朝体です。
一方ゴシック体は縦横の太さが均等で、最初から終わりまでまっすぐの線からなる形です。
ちなみに「フォント」という言葉を耳にしたこともあるかもしれません。
フォントは書体と意味はほぼ同義で使われますが、コンピューターで扱う場合の「書体データ」という意味を含んでいる言葉です。
2.書体の選び方
明朝系の書体は楷書体や行書体、教科書体や筆文字なども明朝系に分類されるでしょう。
固い真面目な印象を与える形です。
オフィシャル、クラシック、保守的、古風などのキーワードが当てはまれば、明朝系がしっくりくるはずです。
一方ゴシック系の書体はどちらかというとカジュアルなイメージになります。
ゴシック体の角が丸くなっている丸ゴシック体をはじめ、様々なポップな形のデザイン書体と呼ばれるものもゴシック系のものが多いです。
やわらかい、女性向け、子ども向け、初心者向けという内容であれば、ゴシック系の書体で表現するのがおすすめです。
3.書体の太さにも注意をはらう
同じ種類の書体でも太さが数種類あるものが多いです。
今はほとんどがコンピューターでデザインを作るので、ここではフォントといった方がふさわしいかもしれません。
太さを色々選ぶのも印象を大きく左右します。
細いものは繊細さを表現でき、太いものは大きなインパクトを与えます。
例えば明朝系のとても太い書体は確固たる力強さを表すことができます。
ゴシック系の細めの書体はとてもスタイリッシュで先進的なイメージづくりに一役買っていることも多いです。
4.配置の工夫で大きく変わる
文字の配置です。
当然大きく配置すれば文字の印象は強くなります。
しかし、ただ大きくすれば良くなるかというとそうでもありません。
書籍は商品そのものが文字の集合ですから、何を伝えたいのかがぼやけてしまう恐れもあります。
もしイラストや写真も使うのなら、見る側にどちらをメインに受け取ってほしいのかバランスを良く考えて配置します。
さらに特定の文字だけ大きさを変化させてみたり、角度をつけてメリハリをつけてみたり、はみ出させる、イラストと組み合わせて変形させてみるなど、工夫次第で大きく印象を変えることができるのです。
限られたサイズの中で、読者に内容をイメージさせ、期待させる為には、文字に情報としての役割だけでなくデザイン要素としての役割も担ってもらうのが優れた表紙づくりには欠かせないことだと思います。